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スマートホームハブとは? 役割と種類を解説

OSCA (Kazufumi Hamano) 更新

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一歩先行く生活を実現! 初心者のためのスマートホーム入門

スマートホームの基礎知識を体系的に学ぶ連載の3回目です。 前回の「スマートホームの仕組みを理解しよう」では、スマートホームハブという機器がスマートホームの中で役割を果たすことを簡単に説明しました。 今回は、スマートホームハブだけにフォーカスして、スマートホームハブの役割と種類について詳しく解説します。

この記事で学習すること

  • スマートホームハブの役割
  • スマートホームハブ製品の種類

1. スマートホームハブの役割

現在市販されているスマートホームハブ製品は、次のような役割・機能を持ちます。

スマートホームハブの役割・機能

  • 家庭内で常駐してスマート家電に命令をする
  • 家庭外(外出先)からも命令を受け付けて、家庭内のスマート家電に命令をする
  • あらかじめ設定されたルールに従い、家庭内のスマート家電を自動操作する

1-1. 家庭内に常駐してスマート家電に命令する

スマートホームハブは、スマートホームの中の司令塔です。 常にスマート家電に命令ができるように家庭内に設置します。 スマート家電を操作するように命令を受ければ、スマート家電に接続を行って命令を出します。前回説明したように、スマート家電への接続/命令は Wi-Fi, Bluetooth, ZigBee(ジグビー)といった通信手段を利用します。

1-2. 家庭外からも命令を受け付ける

スマートハブ製品によっては、家庭外(外出先)からインターネットを介してスマート家電を操作できるようにする機能も持ちます。 外出先からエアコンをつけたり、鍵の閉め忘れを確認したりできます。

1-3. 予め設定したルールでスマート家電を自動操作する

第1回「スマートホームとは?」で述べた通り、スマートホームは家電が自動的に連動し合って人間が快適な空間を作り出してくれるものです。 そのために、あらかじめ設定されたルールに従い家庭内のスマート家電を自動的に操作するのもスマートホームハブの役割です。 この「自動操作」のことを、メーカーごとに次のような言葉で呼んでいます。

プラットフォーム名称
Apple「ホーム」アプリ (HomeKit)オートメーション
Google Home (Googleアシスタント)ルーティング
Amazon Alexa定型アクション
Philips Hueオートメーション
SwitchBotシーン
各メーカーごとの「自動操作」の呼び方

2. スマートホームハブ製品の種類

続いてスマートホームハブ製品には、どのような種類の製品があるのかを見ていきます。 現時点でのスマートホームハブ製品は、次の3種類のものが主流です。

スマートホームハブ製品の種類

  1. スマートホームハブ
  2. スマートスピーカー内蔵型
  3. スマートディスプレイ内蔵型

2-1. スマートホームハブ

現在スマートホームハブは、各スマート家電メーカーごとに、そのメーカーの製品を制御するための機器として販売されていることが一般的です。 例えば次のような製品です。

メーカースマートホームハブ製品操作できる対象機器
PhilipsHueブリッジHueシリーズの機器
IKEATRÅDFRI トロードフリ ゲートウェイIKEAのTRÅDFRIシリーズの機器
SwitchBotSwitchBotハブミニSwitchBotの各種機器

例えばスマート照明機器で大きなシェアを誇るPhilipsのHueの場合、下図のように「Hueブリッジ」がHueシリーズの照明機器の仲介役となってくれます。 Hueシリーズは前回の説明でも登場したZigBeeで通信する製品群のため、「Hueブリッジ」がWi-Fiで命令を受けてスマート家電にZigBeeで命令をし直します。

Philips HueブリッジでHueシリーズの電球を操作する例

2-2. スマートスピーカー内蔵型

スマートスピーカーにスマートハブ機能が内蔵されている製品もあります。 Amazon Echo, Google Nest, Apple HomePod などです。 皆さんが「スマートホームって声でも操作できるんでしょ?」と想像する所以は、このスマートスピーカー内蔵型のイメージでしょう。 スマートスピーカー単体でスマート家電を操作できる機能を有し、スマートスピーカーに話しかけることでスマート家電を操作できる。 スマートスピーカーを利用する場合の仕組みは次の図のようになります。

スマートスピーカーがスマートホームハブの機能を有する場合の例

ただし2022年現在でスマートスピーカー内蔵型の製品の多くは、Wi-Fiで通信するスマート家電を操作できるにとどまります。スマートスピーカーから直接ZigBeeで家電を操作できる製品は、現時点では以下の製品です。

また、スマートホームを実現してみるとわかるのですが、「声で操作できる」ことは最初は便利だと思って試すのですが、意外かも知れないですが、時間が経つにつれて声で操作するよりもスマートフォンで指で操作したくなり、声で操作しなくなってしまいます。その理由としては、声を出すのが面倒くさいのもあるし、何よりスマートスピーカーが聞き取ってくれない場合があり、そうであればスマホアプリで確実に操作した方がストレスがないからだと思います。

2-3. スマートディスプレイ内蔵型

ディスプレイ端末にスマートハブ機能が内蔵されている製品も、いくつかあります。 スマートディスプレイ内蔵型の製品をハブにする場合のスマートホームの仕組みは、スマートスピーカーの場合と変わりません。

スマートディスプレイをスマートホームハブとした場合の例

スマートスピーカー同様、ZigBeeで直接スマート家電を操作できる製品はまだ少なく、次のような製品だけです。

3. スマートホームハブの今後の展望

最後にスマートホームハブ製品の今後の展望についても述べたいと思います。 要点は次の通りです。

スマートホームの今後の展望

  • ZigBee対応のスマートホームハブが徐々に増えていく
  • 共通通信規格 matter の登場により、製品のあり方や機能が変化する

3-1. ZigBee対応のスマートホームハブが増える

上記の通り、「スマートスピーカー内蔵型」や「スマートディスプレイ内蔵型」の製品で、ちょこちょことZigBee通信対応の製品が出始めました。 スマートホームにおいて「ZigBee」という通信規格はしばらくは無くならないでしょうから、対応するスマートハブ製品は増えていくでしょう。

3-2. 共通通信規格matterの登場により製品のあり方や機能が変化する

この連載の第5回で別途説明をするのですが、2022年秋にスマートホームの共通規格「matter」が普及し始めます。 この共通規格により各社製品の互換性が高まり、消費者の皆さんはメーカーの囲い込みから解放されて製品が選びやすくなることが期待されています。これによりスマートホームハブ自体は、特定のメーカーの家電だけを制御するものではなく、中立的に家電を操作するものへと変わっていくと考えられます。 そして機能も、この共通規格「matter」に則った機能が基本となっていくものだと思います。2022年秋から2023年にかけては、スマートホームの転換点になりそうですので意識しておく必要があります。

まとめ

今回はスマートホームの中で司令塔の役割を果たす「スマートホームハブ」の役割と機能について解説しました。 次回は、スマートホームのプラットフォームについて解説します。

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