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新しいスマートホームの共通規格「Matter」とは何か?

OSCA (Kazufumi Hamano) 更新

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一歩先行く生活を実現! 初心者のためのスマートホーム入門

2022年の秋は、スマートホームにとって大きな転換点になるかも知れません。 なぜなら、新しいスマートホームの共通規格「 Matter」が普及し始めるからです。 本稿ではスマートホームの新規格 Matter について、これまでの経緯と今後の展望について解説します。

背景

これまでスマートホームのプラットフォームは、各社それぞれが規格を作って成長してきました。 Apple HomeKit, Google Assistant, Amazon Alexa などのプラットフォーム規格に対して、家電メーカーは「どのプラットフォームの規格に対応するのか」を決定してスマート家電を製造してきました。 その結果「Alexa では使えるけど HomeKit では使えない」という製品があるのが現状です。 Apple の HomeKit はプラットフォームとしては素晴らしい出来ですが、対応製品の数においては Google, Amazon より劣ってしまっています。

またメーカーによっては、上記の大勢力のプラットフォームには対応せずにそのメーカー独自のアプリからしか操作できない家電があります。

このようにスマートホームのプラットフォームの競合により、スマート家電の購入や操作が複雑になってしまっている現状があります。

Matterとは?

2021年に Apple, Amazon, Google を始めとする多くの企業が参加して策定されたスマートホーム向けの新規格が「Matter」です。 Matter は多くの企業が利用することになる共通規格で、Matter に対応したスマート家電は、Apple, Amazon, Google のスマートスピーカーなどから同じように利用できるようになります。 これまでのような「自分の利用しているプラットフォームでは利用できない」という家電が減ることが期待され、私たちはこの Matter のロゴが付いている製品を選べばよくなるのです。

主なアナウンス

この Matter に関しては、各企が次のようなイベントでアナウンスをしてきました。

2021年05月Matterが策定され発表された。
2021年06月AppleWWDC 2021 で HomeKt の Matter 対応に言及。
2022年05月GoogleGoogle I/O 2022 で、2022年秋にNestシリーズなどの製品でMatterに対応することを発表。
2022年05月IKEAMatterに対応したハブ「DIRIGERA」を2022年10月に発売することを発表。(アナウンス)
2022年06月AppleWWDC 2022 で、2022年秋に登場予定の iOS16 で Matter に対応することを発表。

今後の展望

以上のように、スマートホームにとって大きな転換点になることが期待される Matter ですが、実は2度のスケジュール延期をした経緯があります。 しかし2022年6月現在では上記のように Apple, Google, IKEA などが「秋に対応プロダクトが発売される」とアナウンスをしていますので確度は高いのかも知れません。 今年は確実に Matter が世の中に出ることを期待します。

また気になるのは日本メーカーの対応です。 Matter規格への協賛企業はこちらのページで確認できます。 この中には 三菱電機, パナソニック,東芝 の名前はありますが、一方 ソニー, 日立, シャープは見当たりません。 協賛企業として加盟していないだけかも知れませんが、国内の家電メーカーが Matter に対応していくのかは注目する必要がありそうです。

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